看板コラム

看板の法令耐用年数とは?

看板の耐用年数を5つの種類ごとに解説

看板の耐用年数は、看板の種類に応じて変化します。減価償却で計上するためには、会社に設置した看板のタイプを把握しておく必要があります。以下では、看板の種類別に耐用年数をご紹介します。

1.屋上広告塔は20年

建物の屋上に設置される比較的大きな看板が屋上広告塔です。屋上広告塔は、雨風に耐えられるよう金属製のしっかりとした作りとなっており、耐用年数は20年と長いです。

2.スタンド看板は3年

スタンド看板は、お店の入口付近などによく設置されている、置くタイプの看板です。看板下部にはキャスターが付いていることもあり、移動が容易である点もこのタイプの看板の特徴です。A型看板、電飾看板、木製の手作り看板などがスタンド看板に属します。簡易的な看板であるため、耐用年数は短く3年です。

3.袖看板・突き出し看板は18年

袖看板や突き出し看板は、ビルの壁面や支柱に設置される看板です。複数の企業やお店が入るテナントビルで各階の会社、お店を通行人に向けて表示するための看板としてよく用いられます。袖看板も風や雨の影響を受けやすいので、しっかりとした作りとなっており、耐用年数は18年です。

4.パラペット看板は20年

パラペット看板は、店舗の正面入口の上部辺りによく設置される看板です。パラペット看板は、遠くにいる通行人にも見えるよう照明が設置されたタイプのものが多いです。金属製であるため、とても頑丈です。耐用年数は20年です。

5.デジタルサイネージ3年または18年

デジタルサイネージは、液晶モニターが組み込まれた看板です。動的な広告を表示できるため、とても目に留まりやすい最先端の看板です。スタンド看板のように立てて置くタイプのものや、建物の壁に組み込むタイプのものがあります。

立てて置くタイプのものであれば耐用年数は3年、建物の壁に埋め込むタイプのものでは耐用年数は18年です。

そもそも法令耐用年数とは便宜上定められた寿命

看板の法令耐用年数とは、決算書で看板の費用を計上するために、便宜上定められた看板の寿命の目安です。寿命の目安を予め定めておくと、減価償却として計上する際に、経費の計算をスムーズに行えます。そのため、法令耐用年数というのが定められています。

基本的に、設備や資産というものは減価償却して計上します。たとえば、社用車、工場の機械、業務に使うパソコンなどは減価償却の対象です。同様に、看板も資産・設備の1つとして見なせるため、減価償却可能です。

耐用年数では、物の資産価値の寿命を表したものと考えることができます。たとえば、家を購入した場合を想像してみてください。家の売却価格は、築年数が増えるごとに下落していくことはご存知の方も多いでしょう。これは、1年ごとに家の資産価値が毎年下がっていることを意味します。

ここで、資産価値が毎年一定の価格で下落していき、購入から30年経過後に家の資産価値がゼロになったとします。このとき、家は30年で資産としての価値は無くなったので、資産価値の寿命、つまり耐用年数は30年であると考えられます。

実際には、資産がいつゼロになるのかを正確に見積もることはできません。そのため、会計処理を行う際は、慣用的に用いられている寿命の目安を物・資産の耐用年数として使用しています。

減価償却により赤字を避けることができる

資産の耐用年数を定める理由は、資産を減価償却として計上するためです。減価償却とは、資産の購入金額を資産の寿命で割って経費として計上する会計処理上の仕組みです。

たとえば、資産の寿命、すなわち耐用年数が20年の機械を1,000万円で購入して、工場に導入した場合を考えましょう。もし減価償却の仕組みがないとすると、この年の経費として、設備導入費用の1,000万円が計上されます。これにより、会社の本年度の決算は大幅な赤字になってしまう可能性が高いでしょう。

一方、減価償却の仕組みがある場合では、耐用年数の20年で1,000万円を経費として消化していきます。なお、減価償却の計上方法には、定額法と定率法の2つがありますが、ここでは、毎年一定額の支払いを行う定額法で計算を行います。

定額法では、1,000万円を20年で割った50万円が、毎年の経費として計上されます。そのため、購入年でも50万円のみを経費として計上すればよいので、設備導入により赤字になることを防げます。

もちろん、減価償却という仕組みにはデメリットもあります。たとえば、実際に出たお金と経費として計上した額にずれが生じるので、黒字決算であるにも関わらず、手元に資金がなく経営が苦しくなるといったことが起こりえます。

まとめ:耐用年数はあくまで目安

今回は、看板の耐用年数についてご紹介しました。耐用年数は、減価償却で計上するために用いられる寿命の目安です。つまり、実際の看板の寿命が耐用年数と同じであるという訳ではありません。雨風に曝される環境に置かれれば、寿命は短くなり、毎日メンテナンスを行えば寿命は長くなるでしょう。

少しややこしく感じるかもしれませんが、実際の寿命と法令耐用年数は分けて考えるようにしてください。

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